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朝倉俊介は、今年の4月に上京し、東京の大手広告代理店に入社したばかりのフレッシュビジネスマン。
夢と希望で胸をいっぱいにした23歳である。
社会に出て、東京に出て、俊介の身の回りは激変。
生活スタイルも人付き合いもお金の使い方も、とても垢抜けた感じだ。
そんな生き生きとした最近の俊介を、嬉しさ半分、不安な気持ち半分で見つめているコがいる…
4年前から付き合っているふたりは、学生時代から誰もがうらやむお似合いのカップル。
しかし、俊介が東京で就職してからというもの、地元の大学に通う郁美とは遠距離恋愛に。
最近は会えるのも2ヶ月に1度ほど。
電話代もかさむからと、この頃はメールのやりとりをする程度に……。
来年、いよいよ大学の最終学年になる郁美は、
2人の将来のことも少しずつ考え始めるようになっていた。
ところが、俊介が遠くに行ってしまっているようだと、ふたりの関係を不安に思っていた……。
夏も終わりに近づいた8月後半。
俊介は郁美の誕生日を祝うために、休みをとって帰省していた。
その日予約したのは、郁美の大好きなイタリアン。
久しぶりの再会に緊張するふたり。
そして、経験したことのないなんとも言えない間が、ふたりのなかには存在していた。
突然、ドルチェを食べ終わった俊介が、そっと小さな包みを手渡した。
「おめでとう、郁美。開けてごらん」
1人前に給料をもらうようになったから、
今度の誕生日には何かブランドのものを買ってあげるよ、と話していた俊介。
丁寧に包装されたラッピングを開けてみると、中には1台の携帯電話が……。
きょとんとする郁美に、胸ポケットから同じ携帯電話をもう1台出した俊介は、優しく話し始めた。
「郁美、あまり会えなくなってしまって、寂しい思いをさせているよね。
でも、僕も郁美の事を考えない日は無いよ。話したくなったら、声を聞きたくなったら、
いつでもこの携帯で電話しておいで。会えない日は夜通し話そう。
話せない日は、朝が来るまでメールをしよう」
俊介は、輝く指輪でもなく、きらびやかなバッグでもなく、
郁美と何時でも何処でも何時間でも話しができるようにと、
1ヶ月定額料金で際限なく話せてメールも出来る携帯電話をプレゼントしたのだった。
俊介の愛溢れるサプライズプレゼントに、少し涙ぐむ郁美。
「泣くなよ郁美。いくら話したって2台で1ヶ月4千円ちょっとなんだから、元取るぐらいはかけてこいよ!」
と照れ隠しに場を茶化す俊介。光る瞳でニッコリうなずく郁美……。
離れて暮らす恋するふたり、
距離をうめるのは2人の声だけ。endless tel......WILLCOM。
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ジュンペイとメグミは、別々の学校に通う高校2年生。
ふたりは付き合って半年の恋人同士。
放課後は決まってファーストフード店でしゃべったり、カラオケに行ったり。
「自由に使えるお金も少ないのに、ケータイ代でひと月何万も払えない」なんて話してたふたり。
時間潰しに立ち寄ったインターネットカフェで、こんなサイトを見つける…
“1ヶ月2,900円で話し放題&メールし放題”
「何コレー? こんなのあるわけないじゃん!
基本料金も通話料も全部で1ヶ月2,900円!? ありえなーい」。
今日のふたりは、カラオケで1時間歌ってお別れ。
「またあとで電話すんね」夕食を食べて、ひとり部屋で過ごすジュンペイ。
ケータイに着信音が鳴る。メグミからだ。
「今日さー、家帰ったらケータイの請求きてて、先月分2万越えちゃったんだよね……」
実はジュンペイも、先月はネットゲームをやり過ぎたのとメグミとの長電話で、通話料がいくらになってるか内心びくびくしていた。
「オレも今回やばそーだよ」どちらともなく、「今日は切る?」そして電話を置くふたり。
ジュンペイの携帯がメール着信を伝える。「2,900円いってみる?」
電話を切ったあと、あのサイトのことを思い出していたメグミ。
“通話フリー・メールフリーで1ヶ月2,900円オンリー”
昼間みたサイトに飛んでみる。確かに2,900円の定額だ。ジュンペイはサイトを細かく調べてみる。……。
「えっ!? しかもネットで買えちゃうの!?」メグミの携帯がメール着信を伝える。
「2台ゲット!」ジュンペイの携帯がメール着信を伝える。
「明細見たら、先月ジュンペイと1万円分ぐらい話してる!
1ヶ月2,900円だったら7,000円も浮いちゃうじゃん。超すごくない!?」
電話機本体が届いた次の日の学校。
メグミは同じグループのマリとユキに“2,900円ケータイ”のことを話してみた。
「これなんだけどさあ」「えー、ホント!? フツーにかわいいじゃん!1ヶ月2,900円って超すごくない?」
「って言うかさ、安いのもすごいけど、彼氏とふたりだけの専用持つみたいな感じがドキドキしない?
ヒミツのモノ共有してるみたいな」とはしゃぐマリとユキ。
噂は学校中に広まり、恋人ができると、ふたりでこの“2,900円ケータイ”を持つのがちょっとしたブームに。
「あーあ、彼氏、超欲しー。電話もゲットできないしさ」と愚痴るマリ。
「彼氏いなくても買っちゃおうかな……。あなたたちとも2,900円で話し放題だし」
17歳の恋愛は、“彼を愛して、ケータイに恋して”。
ずっと話していたいこの気持ち。endless tel......WILLCOM。 |
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